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メーカーの社長に聞いてみた!相場の3分の1の価格?歯科用の「デジタルスキャナー」

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メーカーの社長に聞いてみた!相場の3分の1の価格?歯科用の「デジタルスキャナー」
Deltan株式会社代表取締役、井上 佳洋氏をインタビュー




歯科業界もDX化の動きは加速しており、これまで歯科医院で行ってきた歯型取りも、デジタルスキャナーを用いた口腔内スキャンへと移行しつつあります。しかし、デジタルスキャナーは一般的に高額で、400?500万円するものも少なくありません。

そんな中、138万円という相場の3分の1の価格でデジタルスキャナーを販売し、高いコストパフォーマンスで話題を呼んでいる企業があります。歯科医療従事者向けのサービス開発・提供事業を手がける「Deltan株式会社」です。

今回は同社の社長である井上佳洋氏に、デジタルスキャナーを安価で提供できる理由や、製品の特徴、サービスの内容などについてお話を伺いました。


御社の設立のきっかけと、これまでの経緯について教えてください。



当社は2019年に、マウスピース矯正ブランドの運営事業を立ち上げたのですが、そのきっかけとなったのが私自身の体験です。

私はもともとIT企業出身で、YahooJAPANのマーケティング部門のマネージャーとして、立ち上げの事業に10年ほど携わってきました。その後、PayPayの初期メンバーとして、戦略設計や全国3000人の営業体制の構築などを行ってきました。

歯科業界とはまったく違う世界で仕事をしてきた私ですが、自分自身が矯正治療をして治らなかったことがきっかけで、歯に対して興味をもつようになりました。

矯正治療を受けたところ、噛み合わせを良くするために治療をしているはずなのに、なぜか嚙み合わせに違和感があり、歯科医師にそれを伝えました。すると、驚いたことに、「お金を返しましょうか?」と言われてしまったのです。矯正治療の技術のレベルが低くて、治せなかったということです。

「それなら、きちんといい矯正治療ができるマウスピースのサービスを作ろう」と思い立ち、当社を設立しました。

提携先は順調に増えていったのですが、その一方で問題もありました。当社が提供するサービスは、これまでのマウスピース矯正の問題点を改善したものだったので、あまり手をかけずに楽に治療ができるため、無責任に治療を行うドクターが出てきてしまったのです。

また、提携店舗が増えていくことで、当社のサービスや矯正治療をきちんと理解していないドクターも増え、これではいい矯正治療ができないと痛感しました。

そこで、思い切って提携先を30店舗ほどに絞り、現在はしっかりと矯正治療を行っていただけるクリニックのみと提携し、信頼関係のもとにサービスを提供しています。


御社のミッションについて教えてください。



「歯科医療従事者とIT企業でテクノロジーを開発し、新しい時代をつくる」というのが、当社のミッションです。

歯科医療は医療従事者が主役の市場ですが、ドクターはエンジニアではないので、サービスを開発することはできません。そこで当社がドクターと組んで新しいものやサービスをつくり、一緒に時代を切り拓いていきたいというのが、当社の考え方です。

お付き合いをさせていただいている30ほどの提携先は、当社とかなり密接に関わってくださっており、「一緒にいいものをつくっていこう」というスタンスで、ドクターの方々も積極的に取り組んでくださっています。


御社のサービスである「DELTAN ORDER」「神樂KAGURA」「hanalove」それぞれのサービス内容と特徴について、教えてください。



「DELTAN ORDER」は、歯科医師が歯科技工士に歯の作成を依頼する際のやり取りを、デジタルで行えるサービスです。

従来は歯型を取って歯科技工士に送り、歯をつくるという流れになりますが、「DELTAN ORDER」を使えば一連の作業をすべてデジタル化できます。

まず、「神樂KAGURA」というデジタルスキャナーで、口腔内の情報をスキャンします。それを「DELTAN ORDER」で管理し、歯科技工士がデータをもとに歯をつくるという流れです。

「hanalove」とは、当社が提供するアライナー矯正システムのことです。同じ「hanalove」という名称のマウスピースを使って矯正治療を行いますが、その際に矯正専門のドクターが治療計画の作成を支援します。

「hanalove」のマウスピースは、通常のマウスピースの2倍ぐらいの量があります。最初は柔らかいマウスピースで痛みを少なくして動かし、少しずつ硬いマウスピースに移行していきます。そのため、治療計画通りにしっかり歯が動くというメリットがあります。頻繁にマウスピースを交換するので、矯正力が弱ることもありません。


御社の製品やサービスの、競合他社と違う点について教えてください。



当社の商品やサービスのアピールポイントは、圧倒的なコストパフォーマンスの高さです。一般的には400?500万円するデジタルスキャナーを、138万円という安価な価格でご提供しています。

安価だからといって、性能が劣るということはまったくありません。むしろその逆で、最新鋭のデジタルスキャナーを取り扱っています。

信頼できる歯科医師に「神樂KAGURA」を試していただいたところ、「なぜこんないい機械があるの?」と、噛み合わせの精度の高さに驚いていました。

通常のデジタルスキャナーのデータ量は12メガバイトほどですが、当社の製品は15メガバイトあります。そのため、噛み合わせが若干ずれてしまうといったスキャン時のミスがほとんどなく、ありのままのデータがしっかり反映されます。

「神樂KAGURA」はサイズも小さく、日本人の口に合うとともに、手の小さな女性医師の方でも扱いやすい製品で、その点はとても喜ばれています。


御社のデジタルスキャナーは業界で最安値と伺っていますが、それを実現できた理由は何でしょうか?



当社は商談をオンラインで行い、購入の意思のある方のみ訪問するスタイルをとっています。無駄な時間と労力を使わないので、人件費をあまりかけずに営業ができるため、安価でご提供することができます。

デジタルスキャナーを安価でご提供することによって、これまで購入を迷っていた歯科医院もデジタル化に前向きになってくだされば、歯科業界の発展に貢献できるのではと考えています。


一般的にデジタルスキャナーは、10年間ぐらい使用するという認識を持っているドクターが多いようです。御社の製品は相場よりかなり安いため、「長く使えないのでは?」と疑問を持つドクターもいると思われますが、その点についてはいかがでしょうか?



まだ販売から10年経っていませんので、実績として10年もつというデータはありませんが、他のデジタルスキャナーと比べて耐久力が劣るということはありません。他社と同様に、10年ほどの使用を見込んでつくられています。その点は、安心してお使いいただけたらと思います。

当社の製品は、実際に使用しているドクターからお客様をご紹介いただき、購入につながることが数多くあります。現時点で、不安を感じているというようなお声は、聞いたことがありません。


御社は今後、どのようなビジョンで事業展開をされるご計画でしょうか?



これからも歯科医師や歯科技工士さんなど、医療従事者の方々と一緒により良い製品やサービスをつくっていきたいというのが、当社の中長期的なビジョンです。

当社は2023年2月から、ベンチャーキャピタルの資金調達を開始しました。サイバーエージェントの投資会社から投資を受けるなど、成長を加速させています。

利益優先の考え方ではなく、いい医療を実践している先生方とともに、しっかりといいサービスをご提供していきたいと思っています。


デジタルスキャナーの利用を検討中のドクターに向けて、ひと言メッセージをお願いします。



いま世の中の歯科医療のトレンドは、確実にアナログからデジタルへと移行しつつあります。矯正治療もデジタル化して、できるだけ作業を効率化していく流れになっていくでしょう。

その流れにのる第一歩として、当社のデジタルスキャナーや矯正治療のシステムは、最適ではないでしょうか。

今後は口腔内スキャナーの使用に対しても、保険診療の点数がつくように、制度が変わっていくはずです。そのときのためにも、早めにデジタルスキャナーを使って、今から慣れておくことをお勧めします。

Deltan製品について、質問やご相談がありましたら、こちら(https://www.deltan.co.jp/)からお気軽にお問い合わせください。




コラム:伊藤樹理

<プロフィール>
ライター歴26年。企業や医療施設、教育施設の記事を中心に執筆活動をしている。歯科をメインに150ヶ所以上の病院・クリニックを取材し、地域医療のあり方や医師・医療スタッフの働き方とキャリアを模索中。国家資格キャリアコンサルタント。